ソーシャルメディアへの発信者が衆人環視の的(まと)になることで、ときに「できていない自分」は激励され、ときに「できている自分」は賞賛されます。そして、気持ちは鼓舞され、より前進するという理解です。たとえば、フェイスブックの利用者なら、自分の発言や行動に「いいね!」や「シェアします」をもらい、いつしか友だちに支えられている自分がいることに気づくことでしょう。
健康の維持・増進を目的とするヘルスプロモーションでは、ソーシャルメディアがとても有効に機能すると考えられます。これまで、保健衛生の専門家らによってヘルスプロモーションには「健康宣言」が大切ということが言われ続けてきました。論文などでも、その対象者に健康宣言してもらうタイミングについて触れているほどです。
健康の「情報」を聞く → 健康の大切さに気づく(このとき、情報は「知識」になります) → 健康の維持・増進について分かる(知識は「知恵」に変わります) → そして、いざ実行する(知恵を「実行」に移します)というまさにこのときに、誰かに向かって「健康宣言」すれば、その目的行動は高く維持されるということになります。
「そうそう、私ね、ヤセることにしたから」と友だちに宣言したり、「昨日から禁酒中だから」と同僚のお誘いを断ってみたりする、ということと同じなのですが、これをもっとおおやけにやってみるという点でソーシャルメディアは大活躍なのです。
さて、「ニンジンは栄養成分カロテン(植物由来のビタミンA)を豊富に含み、カラダにいい」というのは「情報」です(シリーズ第1回で取り上げました)。これを、いまの自分に置き換えて「ニンジンは、いまの私にいいみたい」と考えるのが「知識」です(第3回)。そして、「ニンジンジュースっていうお手軽なものがあるようだから、飲んでみるか」というのが「知恵」です(第4回)。それが、美味しかったりすると、その「目的行動」は長く続くわけです。美味しい理由は第5回に触れていますので、ぜひご確認ください。
そこで、この最終回では「健康宣言」してもらうことにしました。ソーシャルメディアへの公開ボタンを原稿の最後に付けました。ぜひどうぞ、宣誓してください。みなさんの健康を応援します。
(文:西根英一)